≫
top
 
  ≫
吉田富三賞
 


21回 平成24
長田 重一

(ながた しげかず)


昭和24年、石川県金沢市生まれ。昭和47年、東京大学理学部を卒業後、東京大学大学院に進学、昭和52年、博士号取得後、スイスチューリッヒ大学に留学し、ヒトα-インターフェロン遺伝子の単離に成功する。昭和57年、東京大学医科学研究所の助手として帰国。顆粒球コロニー刺激因子(G-CFS)遺伝子を単離、その遺伝子構造を明らかにするとともに、G-CSFの生理作用を解析した。昭和62年大阪バイオサイエンス研究所研究部長に就任。G-CSF受容体、その受容体を介したシグナル伝達機構の解析を進めるとともに、アポトーシスに関するプロジェクトを開始した。そして、Fasがアポトーシスを媒介する受容体であることを見出し、その作用機構、生理作用の解析を進めた。平成7年、大阪大学大学院医学研究科教授を経て、平成19年、京都大学大学院医学研究科教授に就任。日本生化学会会長、日本分子生物学会理事長を歴任、日本学術会議会員。科学雑誌Science,Immunity,Cell Death Differ.等の編集委員。


<受賞理由>
ヒトの体内では毎日数十億の細胞が死滅する。この細胞死の過程はアポトーシスと命名されていたが、その分子機構、生理作用は長い間不明であった。長田重一博士はアポトーシスを引き起こすサイトカイン(Fasリガンド)を発見し、細胞死の分子機構を解明した。ついで、死細胞がマクロファージによって 食・分解される分子機構を解析し、細胞死や死細胞貪食の異常が、がんや自己免疫疾患などの病気をもたらすことを見いだした。